公立の小・中学校にわが子を通わせている保護者にとって、担任の先生との出会いは「運」、いわゆる「担任ガチャ」という側面があるかもしれません。失礼な表現であることは承知していますが、我が家も経験した「あたり」と「はずれ」について、正直に綴ります。
うちの子は2人いますが、均してみると一回は「はずれ」、二回は「あたり」、あとは平均といった感じでした。「あたり」の先生の指導は本当に素晴らしく、その出会いに今でも深く感謝しています。
私立中学校や国立附属では「はずれ」が少ない傾向にあるとも聞きますが、公立では担任の先生との運不運の差は大きく、特に小学校ではその影響をダイレクトに受けます。
「あたり」と「はずれ」の差は、クラスの未来を左右する
中学校になると、教科ごとに先生が変わるため、小学校ほど担任の影響は大きくありません。しかし、小学校での「あたり」「はずれ」は、子どもの学校生活や学習意欲に直結します。
「あたり」の先生がもたらす効果
「あたり」の先生のクラスは、驚くほど良いサイクルに入ります。
- 不登校の生徒がいなくなる。
- 学校が楽しいと感じる。
- ケンカやいじわるがあっても、先生が適切に指導し、トラブルを納めてくれる。
- クラスの仲が良く、団結力がある雰囲気になる。
- 宿題を先生が丁寧に見てくれるので、学習へのモチベーションが上がる。字もきれいになる。
- 親にも人気なので、保護者懇談の参加者も多く、情報がより多く集まる。
「はずれ」の先生がもたらす問題
一方で、「はずれ」の先生にあたると、親が学校生活をフォローせざるを得なくなります。
- いじめや仲間外れがある。
- けんかやトラブルも頻発する。
- 不登校の生徒が出やすい。
- 宿題を先生が見ないので、子どもが「やっても意味がない」と感じてやらなくなる。
- 漢字など基礎的な学習の定着が遅れ、後から親がフォローする必要があることも。
- クラスの中でのトラブルが頻発し、学級崩壊の予備軍のような状態になる。
「あたり」の先生は、指導力と人間力のプロ
私たちが経験した「あたりの先生」は、指導法が緻密に設計されているだけでなく、保護者への細やかな気配りという人間力も兼ね備えていました。
1. スモールステップ指導で「書く習慣」を育てる
特に忘れられないのが、ある先生の日記の宿題です。
- 最初は4行からスタートという極端なスモールステップ。書きたいことがあれば長く書いても良い、というルールでした。
- 毎月1行ずつ増やす仕組みで、子どもは無理なくレベルアップ。夏休み明けには1日1ページになりました。
- 毎日の日記に、先生が短いコメントや花丸をくれるのがポイント。
この先生のおかげで、子どもは「先生に読まれたい」「もっと面白いことを書きたい」という内発的な意欲が高まり、時には2~3ページも書くほどに。「書く習慣」と「表現力」が同時に身についた、素晴らしい指導法でした。
2. 保護者の協力は「当たり前」にしない感謝の伝え方
また、「あたり」の先生は、忙しい保護者への配慮と感謝の伝え方もプロでした。
仕事で忙しいためあまり保護者ボランティアは参加できていませんでしたが、農業体験ボランティアに、小雨の中参加したときのことです。参加者はクラスで5名程度と少なめ。しかし、その日の連絡帳には、手書きの感謝の言葉が書かれた一筆箋が挟んでありました。
「協力は当たり前」にせず、きちんと感謝を伝えてくれる先生の気配り。「また何か手伝おう」という保護者のモチベーションにつながる、学校と家庭の良い連携は、こうした感謝の伝達から生まれるのだと実感しました。
参観日だけでは見抜けない! 「監査」としてのボランティア
担任の先生の指導の質や、クラスの実態は、残念ながら参観日だけではわかりません。子どもも保護者の前では取り繕うからです。
担任の先生を見極めるヒント
- 時間帯をずらす: 参観日が5時間目なら、少し早くいって昼休みの様子を見る、といった工夫で、子どもの素の表情が見えることがあります。
- 学習ボランティアに参加する: PTA活動や読み聞かせなどの学習支援ボランティアとして教室に入る機会は、保護者による貴重な「監査」の場になり得ます。
- ボランティアとして入ることで、参観日では見えない普段の教員と子どものやり取り、学級の空気感を肌で感じることができます。
- そこで得た知見は、「あたり」の先生の指導法の共有や、「はずれ」の兆候を察知し、学校と連携して早期に対応を考えるための重要な情報源となります。
最後に:運任せで終わらせない
公立の教育は「担任ガチャ」という側面があるかもしれませんが、私たちはその「あたり」の先生から何を学び、どう子どもをサポートできるかを考えることが大切です。
そして、「はずれ」にあたったとしても、家庭でどう学習習慣をフォローするか、学校とどう建設的な対話をするかという、親としての姿勢が問われます。
皆さんは、先生との出会いでどんな経験をされましたか?ぜひ教えてください。
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