はじめに:妥協ではなく、わが家なりの現実的な選択
「医大生の親」と聞くと、仕事も子育ても完璧にこなす“スーパーママ”を想像されがちかもしれません。ですが、私は長年パートタイムで働いてきました。
正直に言えば、最初から前向きに選んだわけではなく、家族の状況を考えると、そうせざるを得なかったという気持ちが大きかったと思います。
けれど、年月が経って振り返ると、この働き方はわが家にとって意味のある選択だったと感じています。
夫は仕事が非常に忙しく、頼れる親族も近くにいない環境でした。家庭を安定して回し、子どもの成長を支えるには、私が柔軟に動ける働き方を選ぶ必要がありました。
この記事では、フルタイムを選べなかった理由、キャリアへの葛藤、そしてパート勤務を続けてよかったと感じている点について、実体験をもとに書いています。
1. フルタイムを選べなかった現実的な理由
1-1. 親族のサポートを期待できない環境
私の両親、夫の両親ともに県外在住で、日常的なサポートは受けられませんでした。子どもの急な体調不良や学校・塾の送迎など、基本的には夫婦二人だけで対応する必要がありました。
1-2. 日常の家事育児は私が担う形に
夫は平日は仕事中心の生活で、日常的に家事育児を分担するのは現実的ではありませんでした。私はパートを選択したので、子どもの送迎や看病、急な呼び出しへの対応は、ほぼ私が引き受けていました。
本当に緊急の事情がない限り、平日に夫が対応することはほとんどありませんでした。そのため、家庭を回す役割を考えると、私が時間の融通がきく働き方を選ぶ必要があったのだと思います。
2. パートを選ぶことへの葛藤と心の整理
2-1. 制度上の「理想」と家庭の「現実」
夫の会社は育児支援制度が整っており、正社員として働き続ける女性も多くいました。一方で、家庭内では「男性が主に働き、女性が家庭を支える」という役割分担が暗黙の前提になっているケースも少なくありませんでした。
今ほど男性の育児休暇取得率も高くなく、夫にはイクメンになるという考えはなかったみたいです。
実際、夫の同僚から「パートになることへの抵抗はなかったのか」「どう気持ちに折り合いをつけたのか」と相談を受けたこともあります。
2-2. 収入と時間のバランスをどう考えたか
私はもともとパート勤務だったため、正社員向けの育児短時間勤務制度は使えませんでした。勤務時間自体は育短の正社員と大きく変わらなくても、ボーナスがほぼ出ないパートでは、年収はフルタイムの半分以下になるのが現実です。
それでも、正社員として、責任の重い仕事をフルタイムで続けることは、ワンオペに近い家庭状況では大きな負担になると感じていました。
そこで私は、「収入を最大化する」よりも、時間と心の余力を確保することに価値を置く考え方に切り替えました。収入面は、フルで働ける夫が担い、私は家庭を安定して回す役割に注力する。その分業が、当時のわが家には合っていたように思います。
結果的に、子どもは現役で国立医学部に進学しました。もちろん、進学の結果がすべてだとは思っていません。ただ、振り返ってみると、わが家の場合はパートという選択が家計全体の負担を抑えることにつながったと感じています。これは、すべての家庭に当てはまる話ではなく、あくまでわが家のケースです。
3. パート勤務で得られた三つのメリット
3-1. 家庭のリスクに対応できる柔軟さ
パート勤務の最大のメリットは、子どもの体調不良や突発的な出来事に対応しやすい点でした。家庭内の「誰かが動ける状態」を維持できたことは、結果的に大きな安心感につながっていたと思います。
3-2. 心の安定と生活の質
忙しさが続くと、食事や住環境が荒れ、それが心の余裕にも影響します。パートで時間的なゆとりを持てたことで、最低限の生活リズムや家の状態を保つことができました。
この心の安定が、子どもの学習環境を整える土台になっていたように感じます。
3-3. 思春期に必要だった「そばにいる時間」
子どもが高学年から中学生になる頃、「これからお金がかかるから」と仕事量を増やす選択もあります。ただ、私は思春期こそ、親の存在が必要な時期だと感じていました。
多くを語らない日でも、帰宅時の「ただいま」の声や、食卓での様子から、心の状態が伝わることがあります。一緒におやつを食べたり、同じ空間にいる時間が、子どもにとっての安心材料になることもありました。
こうした言葉にしにくい心のケアに必要な時間と余力を確保できたことは、パート勤務だったからこそだと思います。
まとめ:わが家に合った働き方だった
私のパート勤務は、キャリアを手放した妥協ではありませんでした。
当時の家庭環境や役割分担を踏まえたうえで、無理なく家庭を回し続けるための、一つの現実的な選択だったと感じています。
働き方に正解はありません。他の家庭には別の最適解があると思います。
ただ、自分の家庭の条件や子どもの成長段階に合わせて当時は必死で選んだ働き方でしたが、
今振り返ると、わが家に合った選択だったのだと思えています。
同じように迷っている方にとって、「こういう選択もある」という一例になればうれしいです。
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