1.入学式当日の「公開処刑じゃんけん」
中学校の入学式。
新しい制服に身を包んだ子どもたちの姿に、思わず目を細めたのも束の間、保護者はそのまま教室に集められました。
そこで始まったのが、伝統(?)の「負け残りじゃんけん大会」です。
前年度の役員さんが教壇に立ち、保護者全員と順番にじゃんけん。
全員が立ち、勝った人だけ座っていく方式。
負けた人だけが立ったまま残り、人数が3人に絞られるまで終わりません。
逃げ場のない、緊張感のあるサバイバルなシステムでした。
2.教室に響き渡った「絶叫」
「これから役員決めを始めます」と前年度役員の方からの説明が終わった瞬間に、
静まり返った教室に、突然ひとりのパパの叫び声が響きました。
「俺は父子家庭で仕事もある!役員なんて絶対にできないんだ!」
「負けたらどうするんだ!」
さらに感情はエスカレートします。
「役員ができないなら、俺の子どもに中学校を辞めろって言うんか!」
入学早々、誰も「辞めろ」なんて一言も言っていません。
完全に被害者意識が爆発した状態でした。
教室の空気は一気に凍りつき、周囲の保護者はドン引き。
正直、その場にいた全員が
「本当に嫌だ。早く帰りたい」
と思っていたはずです。
3.前役員さんの「鋼のメンタル」と、私の冷めた視線
場が荒れる中で、ひときわ印象に残ったのは前年度の役員さんでした。
一歩も引かず、感情的にもならず、淡々とこう繰り返します。
「皆さん、これまでずっとこの方法で決めてきました」
「ご家庭の事情がそれぞれあっても、皆さんやってこられています」
「まだ負けたと決まったわけではありません」
「まずはじゃんけんをしてください」
そのやり取りを見ながら、私はかなり冷めた目で考えていました。
(当たるのはたった3人。
はずれる人の方が多いんだから、
せめて負け残ってからでもいいのでは……
でも、負け残ってからでは、遅いと思われたのか)
今思えば、保護者側も余裕がない状態だったのだと思います。
入学式という非日常と、突然の役員決めが重なり、感情が一気に噴き出したのかもしれません。
結局、そのお父さんはじゃんけんに勝ち、役員にはならずに済みました。
自分が勝てて役員を逃れほっとしたのももちろんですが、
そのお父さんが負け残りにならず、心底安堵しました。
一方で、同じ教室におられたシングルのお母さんたちの姿も強く印象に残っています。
彼女たちは誰ひとり声を荒げることなく、淡々としていました。
子どもに負い目を感じさせたくない。
そんな親の覚悟が、静かに伝わってきた瞬間でした。
4.じゃんけん廃止!「丸付け投票方式」の闇
この出来事がよほど強烈だったのか、下の子の入学式ではじゃんけん方式の役員決めは廃止されていました。
代わりに導入されたのが、事前に配られた用紙に
「やってほしい人」に丸を付ける投票方式です。
一見、穏やかになったように見えます。
でも、問題はそこにもありました。
中学校は、複数の小学校が合流する中学校でした。
友達が役員になるのは気の毒で、どうしても「知らない名前」から選びがち。
その結果、人数の少ない小規模校出身の保護者が
狙い撃ちされるという不条理が起きているのではと、不満の声が上がったそうです。
さらに、開票作業は前年度役員による密室作業。
「小規模校の保護者が、自分たちが狙われないように
特定の人に票を集める“組織票”を入れているらしい」
そんな噂まで飛び交い、
匿名投票と密室開票は、保護者同士の疑心暗鬼を生む
ドロドロした政治劇の様相に。
5.隣の学校は「別世界」?役員決めの格差
他校の保護者と話して、さらに驚かされました。
我が校は一クラス役員わずか3人の少数精鋭。
一方、隣の学校は6人の大所帯。
しかも、
こちらは「丸付け投票」
あちらは「話し合い」。
話し合いは本当に大変なようです。
住所の境界線が少し違うだけで、
修羅場に巻き込まれるか、
システムが淡々と選んでくれるかが決まる。
役員決めは、
時の運と住む場所で決まるガチャのようだと実感しました。
まとめ
じゃんけんでも、投票でも、
誰かが「貧乏くじ」を引かされる構造は変わりません。
役員決めは、
平等に見えて、実はとても不平等。
そんな現実を、入学式早々に突きつけられた出来事でした。
※役員の決め方は地域や学校により異なります。



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