中学受験は、親御さんにとってもお子さんにとっても、人生で有数の緊張を伴うイベントです。「もし落ちたらどうしよう…」と、不安で眠れない夜を過ごしている方もいるかもしれません。
結論からお伝えします。わが子は中学受験に落ちましたが、結果的に自力で進路を選び、国立医学部へ現役で進むことができました。
この記事では、医学生の母である私の実体験に基づき、中学受験に落ちたことがいかに「失敗」ではなく「成功への回り道」だったかをお伝えします。学力を伸ばすための具体的な工夫や、子どもの自信と自己肯定感を育んだ親の見守り方についても詳しく解説します。
中学受験の挫折がもたらした「非認知能力」の大きな成長
12歳の「挫折」が子どもを強くする|メンタル強化の機会
中学受験の失敗を、子どもにとって「人生の終わり」のような「あまりに大きな挫折」にしないよう、親が事前に予防線を張ることは非常に重要です。我が家では、受験前から「落ちても大丈夫」と子どもに伝えていました。
事前に伝えることで、結果がどうあれ、その経験を「乗り越えるべき小さな挫折」として捉え直す機会を与えます。この乗り越える経験こそが、子どものメンタルを強くする土台となります。受験で付いた学力は裏切らないと伝え、合否ではなく努力を評価し、再スタートの安心感を与えました。
公立中学で成績上位層に。自己肯定感が伸びる経験
小学校では目立たなかった子ですが、公立中学へ進学すると、受験合格組が抜けたあともあり、成績の上位層に入ることができました。クラス委員にも選ばれ、「自分はできる」という成功体験を積み重ねたのです。
この経験は、自己肯定感を大きく育み、その後の学習意欲や進路選択に確実につながりました。実際、中学受験の勉強を頑張った子は、中1の最初の定期考査ではその「貯金」で上位に入りやすい傾向があります。このスタートダッシュで得た成功体験こそが、その後の自信につながります。
落ちたからこそ得られた友情と環境
中学受験に失敗したので地元公立に進んだのですが、小学校の時の仲の良かった友達とさらに仲良くなり、親友になりました。同じ校区なので、毎週家を行き来するようになり、さらに友情も深まりました。親友の存在も自己肯定感の上昇や心の安定につながりました。
もし中学受験に合格していたら、学校と家が遠くなり、優秀な子供たちに埋もれ、公立中学で得られた経験や、深い友情は得られなかったでしょう。
公立中学では上位層になれましたが、孤高の一番にはなれず、常に上位の中でも順位が入れ替わっていました。学校から順位の発表はないですが、子供同士で情報交換していたみたいです。男女関係なくお互いをライバルとして認識しており、お互いに良い刺激を受けることができました。ライバルの一人が同じ高校を目指していることを聞き、自分も頑張ろうと思ったみたいです。
親友との絆が深まったこと、また同じ公立進学校を目指す仲間の刺激によって進学意欲が高まったことが、その後の成長を大きく後押ししてくれました。中受に落ちたことが、友情や自信の成長につながったのです。
親の関わり方は「信じる応援団」。燃え尽きを防ぐ見守り方
「もっと勉強しなさい」は逆効果。黙って信じる時間
結局、声をかけるより、子どもが自分で考える時間を尊重することが大切です。
「もっと勉強しなさい」と余計な声かけをするのではなく、子どもを信じて見守るだけで十分でした。子どもは自ら考え、行動する中で成長していきます。
進路は子ども主体で決定。親はサポート役に徹する
子どもが進路を考えるとき、親は情報提供や環境整備といったサポート役に徹しました。
結果的に子どもは自分で進路を選び取り、進学先の決定を通じて意思決定力も育まれました。
公立中学で学力を伸ばすための具体的な対策と注意点
中1は「受験の疲れを癒す期間」も必要。ただしモチベ維持が鍵
受験を終えたばかりの中1の時期は、心身ともに疲れているため、少しのんびりする期間を設けても問題ありません。しかし、その「のんびり」がいつまでも続くと危険です。
中学受験で全力を出し切った優等生が、中1以降に学習意欲を失い、高校受験で思わぬ結果になってしまうのは、燃え尽き症候群(バーンアウト)の可能性があります。最初の成功体験を活かし、「貯金を食いつぶさない」よう、学習習慣が続いているか親が見守ることが重要です。
公立のペースに「任せきり」は注意。親が情報収集のリーダーに
公立中学は、生徒も先生もゆったりしたペースで進みがちのため、どっぷり浸かるだけでは、高校受験で遅れを取るリスクがあります。
特に進路指導は中3でも十分ではないことがあるため、受験に関する情報収集は親の側で主体的に行うことが重要です。「学校の学習ペースは標準的」と理解し、先を見据えた準備をすることが大切です。
公文・検定を活用! 基礎学力・先取り学習を補強
学校の授業内容や情報だけでは心もとないので、塾に入ったり、公文などの教材で学力を補強しました。
わが家では公文の英語で高2レベルまで進め、数検も受験するなど、検定を活用して先取り学習を補強することで、高校でのスタートを有利にしました。
振り返って思うこと
落ちても意味がある
中学受験に落ちても、子どもは自分で考え、着実に成長していきます。学力だけでなく、友情、自信、メンタルといった非認知能力からも学びがあります。
結果より過程を尊重。親の役割は「信じる応援団」
親ができるのは、子どもを信じて見守ることだけ。結果に一喜一憂せず、子どもが主体的に考える時間を尊重することが大切です。親は、子どもの「信じる応援団」に徹しましょう。
学力と経験の両方を大切に
落ちた経験が、学力を伸ばすための自己肯定感につながり、友人や環境から刺激を受けることができました。焦らず、子どもが主体的に成長できる環境を見守りましょう。
まとめ
中学受験の失敗は、決して終わりではありません。むしろ、子どもが自分で考え、力強く成長していくための「回り道」になることもあります。
大切なのは、親が結果に一喜一憂せず、「子どもを信じて見守る」こと。そして、公立中学の環境を理解し、先取り学習などで学力の「自衛」をすることです。
合否という結果だけに目を向けず、友情、自信、自己決定力といった、将来役立つ非認知能力を育む機会だと捉えましょう。お子さんが選んだ道を心から応援し、自信を持ってそっと背中を押してあげてください。
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